2013年12月23日月曜日

ヤイロ・リーデヴァルト~Droomdebuut

エールディヴィジは前半戦を終え、ウインターストップに入ります。

前半戦最後の試合、アヤックスはローダJCにアウェーで劇的な1-2の逆転勝利。ヒーローとなったのはこの日エールディヴィジデビューを飾った17歳のDF、ヤイロ・リーデヴァルトでした。


リーデヴァルトは1996年9月生まれの17歳。2007年からアヤックスユースでプレーしており、世代別のオランダ代表にも選ばれている選手です。


現在リーデヴァルトはA1に所属している選手。オランダ2部に参戦しているアヤックスのリザーブチームJong Ajaxにおいても、2013年10月にデビューを果たしており、12月9日のカップ戦でトップチームデビューを果たした選手です。


ボイレセンの負傷に伴い、現在アヤックスは左サイドバックが手薄な状態。フランク・デ・ブールはブリントをなるべく中盤の底のポジションで使いたい思惑があるようで、右利きのリヘオンを使ったり、あるいは本来プレーメーカーの位置に入るドゥアルテを使ったりと、試行錯誤していました。



ローダとの試合では、結局ブリントが左サイドバックに入っていましたが、後半35分にデ・ブールは守備的MFポウルセンを下げて、その位置にブリントを入れる選択をします。


交替で入り左サイドバックを務めたのが17歳のリーデヴァルト。ここで彼は決定的な仕事をしてみせます。


まずは後半43分、ペナルティーエリアでフーセンがボールキープ、反転して送ったグラウンダーのクロスに飛び込んだのはサイドバックのリーデヴァルトでした。これでアヤックスは同点に持ち込みます。

驚きはその数分後。後半ロスタイム、シェーネのコーナキックをフェルトマンがヘッドで前に送り、ここに詰めていたのがまたしてもリーデヴァルト。劇的な逆転劇を演出してみせました。


結局、丁重な試合を見せていたアヤックスですが、この17歳の新たな才能に助けられる形となり、見事Winterkampionenの座を射止めました。本当に強いチームは調子が悪くても勝つ。今のアヤックスには不思議な勝負強さが備わり始めています。


ちなみに、リーデヴァルトはフランク・デ・ブールの元でトップチームデビューを果たした15人目のプレーヤー。17歳と104日でのゴールはなんとエールディヴィジ最年少ゴール記録です。もちろん、まだまだトップチームで定位置を確保するには道のりは遠いかもしれませんが、MFもできる選手ということなので、これからじっくり成長していってほしいですね。





2013年12月8日日曜日

WSDの記事について。その他諸々


アヤックスはつい先程、NACブレダに4-0で勝利。2試合連続の4-0での勝利になります。

輝いたのはハットトリックを決めたクラーセン。前半の1点目はシェーネのパスを冷静にゴール右隅に流し込み、2点目はフィッシャーからの柔らかいクロスを見事なダイレクトボレー。後半、モイサンデルからのロングボールを受け、ワントラップでGKを抜き去りゴール。どの得点もシンプルながら確かなテクニックがなければ不可能な、まさに彼のプレースタイルをそのまま表したような素晴らしいものでした。(ゲームでいうとウイイレもFIFAも彼のこと過小評価しすぎですよね。パッとしない能力値でしかもあんまり成長しない。せめてもうちょっと将来的に成長する設定にしてほしい。)






ハイライトはこちら。




さて、今日はワールド・サッカー・ダイジェストの記事についてです。


この雑誌、アヤックスの若手のこともたまに取り上げてくれるのでそこには感謝なのですが、オランダの記事はユトレヒトファンのハンス・フォスさんという方が書いていて、どうもアヤックスに対して厳しいんですよね。



今月号の記事では、要約すると「若手を育てて結果を出すというアヤックスの理念は素晴らしい。しかし、それだけでは勝てない。もっと現実的になるべきなのではないか。このままだと連覇やCLグループステージ突破は厳しい」、というものでした。それ以上でもそれ以下でもない。セルティックやバルセロナへの勝利は華麗にスルー。


まぁ、たぶんこれが一般的な、特段アヤックスファンではないオランダ人の見方なのかもしれませんが、それにしても、「それができたら苦労しねえよ!」と叫びたくなるような意見ですよね。


ようするに、それが中堅選手であれ他チームの優秀な若手であれ、計算できる選手を買う金がないんです。オランダでは中位から下位のチームの若手が活躍すると、まずはオランダ国内のビッグクラブ、つまりアヤックス、PSV、フェイエノールト、トゥエンテあたりへの移籍が噂されますが、移籍金の折り合いがつかなかったり、給料の折り合いがつかなかったりで、最近はアヤックスに来てくれる若手の実力者が少ないのが現状です。ナルシンもマヘルもPSVを選び、海外リーグへの挑戦は時期尚早と思われるようなアサイディやファン・ヒンケルも結局プレミアリーグを選択。もちろん、オランダの他のチームに比べればアヤックスだって金満ですが、PSVには敵わないし、国外のビッククラブの予算とは大きな隔たりがあるわけです。


ボスマン判決以降、アヤックスはじめオランダのクラブが皆こういった状況に置かれていることは、オランダ人ならよくわかっているはず。それを「もっと現実的に」と言われても、「あなたがもっと現実的になったほうがいいんじゃ…」という感想です。



アヤックスにとっては、スレイマニが苦い思い出になっているのではないでしょうか。2007年にヘーレンフェーンで目覚ましい活躍を見せたスレイマニを翌年アヤックスはオランダ国内での移籍では最高額となる1625万ユーロ(当時のレートで約27億2500万円)で獲得、当然高額のサラリーが支払われることになりましたが、最終的にはレギュラー落ちしてしまい、いい結果を残すことができませんでした。


もちろんスレイマニはそれなりの活躍はしました。彼のスピードとテクニックは間違いなくアヤックスの武器でしたし、久しぶりのリーグ制覇の原動力にもなっていたと思います。しかし、それが投資した額に見合う活躍だったかというと首を傾げざるを得ない結果で、ファンからは批判の対象になってしまいました(彼自身にとっては少し酷ですけどね…)。



好むと好まざるとにかかわらず、限られた予算の中で若手を育ててやっていくしかない。その中で、時としてフリーで獲得できるポウルセンのような選手や、ボージャンのようなローンの選手を入れつつ、やりくりしていくしかないんですよね。


※ちなみに立ち読みでざーっと読んだ印象だけでこれ書いてますので、もしかしたらハンスさんの意見と照らしあわせて的はずれな文章になっているかもしれませんが、あしからず。


ミッドウィークにはいよいよ敵地でのCL最終節ACミラン戦。アウェーでの戦いですし、当然チーム力には差があります。また、キャプテンのシーム・デ・ヨングは欠場の見込みになっています。ただ、ブリント、セレロ、クラーセンの中盤もばっちり機能し始めて、現在チームの調子は完全に上向き。この勢いでサプライズを起こしてほしいものです。