2013年1月26日土曜日

ダフィー・クラーセン ― De Nieuwe Bergkamp


先日のクラシケルでは、フィッシャーのセンセーショナルな2ゴールもあり見事勝利。カップ戦含めると既に今シーズン7ゴールを決めているフィッシャーへの注目はますます高まり、本格的にブレイクした感があります。(UEFAもウェブサイトで彼についての記事を載せていました→http://jp.uefa.com/memberassociations/association=ned/news/newsid=1913253.html


しかし、アヤックスの注目の若手は、もちろんフィッシャーだけではありません。今日フォーカスするのは、昨シーズンデビューしたユース出身のMF、ダフィー・クラーセン。現在負傷中ですが、1ヶ月程度で復帰が見込まれるという報道もあるこのプレーヤーについて、少し書いてみたいと思います。







1993年、アムステルダム近郊のヒルベルサム(Hilversum)で生まれたクラーセンは、2004年、11歳のときにアヤックスにスカウトされ、そこからアヤックスのユースアカデミー、De Toekomstでプレーし始めます。


彼の名が知られるようになったきっかけは、間違いなく去年のNextGenシリーズでしょう。アヤックスユースの10番を背負い、キャプテンとして活躍した彼は、フィッシャーなどのFWに絶妙なパスを送り続けただけでなく、自らも得点を決めてチームの準優勝に大きく貢献しました。

エールディビジデビューは、昨シーズンのNEC戦。投入されてから1分も経たないうちに鮮やかなデビューゴールを叩きこみ、アムステルダム・アレナに衝撃を残します。ちなみにデビュー戦でゴールを決めた選手のリストにはクライフ、ファン・バステン、クライファートなど錚々たる名前が並んでおり、こういった事実も彼への期待が集まる理由でしょう。



ポジションは攻撃的ミッドフィルダーで、FWとしてプレーすることもできる柔軟性を持った選手。爆発的な得点力があったり、奇想天外なクリエイティビティーを発揮するようなタイプの選手ではありませんが、アヤックスのユース育成の基礎となるTIPS(Technique, Insight and Intelligence, Personality, Speed)のモデルを体現する選手である、という説明が非常にしっくりくる選手だと思います。

基礎技術に優れたクラーセンは、トラップの精度が高くワンタッチでも正確にボールをさばくことができます。頭の良い選手で、スペースを見つけて走りこみ、パスを受けてリズムを作るプレーが得意。それでいてゴール前では落ち着き払ったプレーを見せ、難易度の高いシュートもしっかりと枠に飛ばします。ちょうどシーム・デ・ヨングのような選手と言えるかもしれませんが、クラーセンはシームよりももう少しパスの技術に長けている印象です。往年の名選手、リトマネンもしくはベルカンプのような万能型の選手。

De Boer: Gunners zagen al Bergkamp II in Davy Klaassen
こちらはプレシーズンのイングランド遠征の際、デ・ブール監督がホテルでノリッチvsアヤックスの試合を見たアーセナルサポーターからクラーセンについての評価を聞いたという記事。そのアーセナルサポーターはクラーセンは「ベルカンプのよう」と評し、彼がエリア上のスペースを非常に上手く使っていたことを称賛したとのこと。


彼が注目を集めている理由は、彼がオランダ人であり、「10番」であること。アヤックスは90年代半ばのような成績を欧州で残すことはなくなったとはいえ、近年も優秀な若手を輩出し続けてきました。記憶に新しいところで言えばフェルトンゲン、そして現チームで言えばエリクセンやフィッシャー。しかしフェルトンゲンはベルギー生まれ、エリクセンとフィッシャーはデンマーク代表です。幼少の頃からアカデミーに在籍し続けるオランダ人選手で、しかも得点を決められる10番タイプの選手は、スナイデルやファン・デル・ファールトを最後に長らく輩出することができていないのが現状です。シーム・デ・ヨングはエールディビジで継続して素晴らしい活躍を見せていますが、オランダ代表には定着することができておらずファンは今でも「次のスナイデル」を探し続けています。


この2月で20歳になるクラーセンは飛び抜けて若いわけではなく、ほぼ同世代のAZのアダム・マヘルやフィテッセのマルコ・ファン・ヒンケルはすでにチームの主軸として活躍し、オランダのフル代表にも選出されています。それでもクラーセンはアヤックスの今後数年を引っ張る選手に成長する可能性を秘めており、デ・ブール監督もその才能を認めています。


2012/13シーズン前半のほとんどを怪我で棒に振り、2試合の出場に留まったクラーセンですが、2月末頃の復帰が期待されています。後半戦、そしてシーム・デ・ヨングやエリクセンがチームを去るであろう来シーズン、クラブの新たな顔として成長していって欲しいと思います。







0 件のコメント:

コメントを投稿