2012年12月30日日曜日

2012/13シーズン前半戦総括




オランダ・エールディビジは前半戦を終え、ウィンターストップに入りました。

アヤックスは現在勝ち点37で、共に勝ち点40のPSVとトゥエンテを追って3位につけています。また、「死のグループ」と形容されたチャンピオンズリーグのグループDでは3位に終わり、ヨーロッパリーグへの出場を決めています。2月14日に決勝トーナメント一回戦のステアウア・ブカレスト戦が待っています。

今シーズンのアヤックスについて少しまとめてみたいと思います。


1.新加入選手

今シーズンの新加入選手は以下のとおりでした。

  • ニクラス・モイサンデル(CB)
  • クリスチャン・ポウルセン(DMF)
  • トビアス・サナ(RWG/LWG)
  • ラッセ・シェーネ(OMF/DMF)
  • イラン・ボッカーラ(OMF/DMF)
  • ダニー・フーセン(FW)
  • ルーカス・アンデルセン(FW)
  • ライアン・バベル(FW)


このほか、以下の選手がユースから昇格してトップチームでの出場機会を得ています。

  • ヨエル・フェルトマン(CB)
  • ステファノ・デンスヴィル(CB)
  • ミッチェル・ダイクス(LSB)
  • レズリー・デ・ザ(FW)
  • ファビアン・スポルクスレデ(DMF)
  • ヴィクトール・フィッシャー(FW)


アニタ、フェルトンゲン、ヤンセンといった中心選手がチームを去った今シーズンは、現実的な見方をすれば戦力はダウンしたと言わざるを得ないでしょう。総じて、高いパフォーマンスを見せている新加入選手はCBのモイサンデルとMFのシェーネくらいのもののような気がします。

ポウルセンは単純なミスが多く安定したパフォーマンスを見せることができておらず、サナは加入当初の衝撃を見せ続けることができませんでした。バベルは出場時にはターゲットマンとしてある程度の活躍を見せましたが、得点は2点のみで怪我で離脱ということで、WSDは「まったくの期待はずれ」といった表現までしていました(個人的にはこんなものだろうという印象なので期待はずれってことはないと思っていますが)。

フーセンやフィッシャーは経験不足感が否めませんでしたが、あの年齢でここまでやれてることは誇っていいことだと思うので、今後に期待でしょうか。モイサンデルはCLでも点決めたし、徐々にフェルトンゲンがやっていたような後方からゲームメークをするような役割を担いつつあるので、期待。個人的には、ボッカーラ、アンデルセン、スポルクスレデあたりに今後出場機会が増えていくことを期待しています。


2.前シーズンから引き続き在籍していた選手



際立ったパフォーマンスを見せたのはダレイ・ブリント(LSB)でしょうか。生粋のAjaciedながら今までファンからも散々いらないと言われ続けてきたちょっと可哀想な選手ですが、ユース上がりのダイクスとのポジション争いに勝利し、エールディビジでは18試合に出場しています。一対一で簡単にやられることも少なくなったし、持ち前の確かなテクニックを武器にした攻撃参加も地味ながら効果的だった。細かなパスをつなぐのがうまい選手なので意外とボランチあたりでも使えるんじゃないかと思ったり。あとはゴールやアシストがあればもっと乗って行きそうなので期待したいけど、契約延長するかどうかよくわからないのでもしかしたら1月に出ていく可能性も。

今シーズンチームを去ったフェルトンゲンからキャプテンを引き継いだのはシーム・デ・ヨング。NUsportによってエールディビジのファン投票人気ナンバーワンに選ばれ(※1)、かつVoetbal Internationalによって得点数とアシスト数を合計した結果「2012年で最も価値のあるプレーヤー」に選ばれました(※2)。CLでシティーに対して1勝1分の成績を残せたのは間違いなく彼のおかげです。アレナでファンラインのクロスを渾身のハーフボレーで叩き込んだ同点ゴールは個人的に今のところ今シーズンで一番興奮した瞬間でした。ここぞという時に必ず点を決める稀有な才能の持ち主。あとは安定したパフォーマンスを出せるようになれば…。とても好きな選手ですが、さすがにこんだけずっと出場しっぱなしよりは調子悪い時は下げて他の選手に機会与えてもいいんじゃないかと思います。

エリクセンは大事なところでゴールも決めているし、CLでもある程度活躍できたし、少しずつレベルアップしている感はあります。もはや欧州で注目の若手という話になると必ず出てくる選手。今シーズン限りかもしれませんが、応援したいです。

逆に少し気になるのはブーリフテルとトビー。ブーリフテルは、昨シーズン怪我をする前まではすごい選手だと思っていたけど、少し迫力がなくなっている感じがしますね。やはりウィングといえどもゴールが少ないのが気になります。復調に期待。トビーも安定感が出てきた気はするんですが、フェルトンゲン並みのスーパーなCBにはまだなれていない感じがしますね。来シーズンもアヤックスに留まりたいといったことを言っていたので、今期と来期でさらに成長して欲しい選手。


3.怪我人について

昨シーズンほど悲惨な状況ではないかもしれませんが、今シーズンも怪我に悩まされているアヤックス。シグトールソン、ボイレセンがいればチーム力は一段上がると思いますし、シーズン序盤で良いプレーを見せていたセレロが怪我をしたのは非常に残念でした。また、若手としては個人的に好きな選手でもあるクラーセンが怪我をしているのは残念。今年はもっと出場機会を増やして飛躍の年にして欲しかっただけに、これによって成長が止まってしまわないことを祈るばかりです。


4.放出されそうな人々

今シーズンはほとんど出場機会を得ることができていないスレイマニは、オーフェルマルスSDが「1月に出ていくのがベスト」と公言。デ・ブール監督の構想外になっていることが明らかになりました。いい選手なのでしょうけれど、怪我がちだし、何よりも財政的な負担が大きいことがネックになっているのでしょうか。確かにファンからしてみても、スレイマニよりもルコキ、フィッシャー、フーセン、アンデルセンなどの若手FWが成長していく姿を見たいというのが本音かもしれません。

また、昨シーズンはNACブレダにローンで借り出されていたロリー・ボネファチアですが、今シーズンのエールディビジでは出場機会を得ることができておらず、1月の移籍に向けてローダと交渉が進んでいる模様。プレシーズンでは少し試合に出ていましたが、敏捷性があり足元の技術もあってなかなか味のあるボランチだと感じました(CBもできるみたいです)。アニタに少し似てるかなと思ったので期待したんですが…ちょっと残念です。

また、上でも触れましたがブリントが残るかどうかは不明瞭な様子です。もしブリントが放出されるとなると、左サイドバックはダイクスとコッペルスになりますが、ボイレセンの怪我が長引く中この2人だけでシーズンを乗りきるとなるとかなり不安ですね…。ちなみに昨シーズンはそれなりに出場機会を得ていたコッペルスにもローン移籍の噂はある模様。


5.前半戦総括

CLについては、「ああやっぱりこのグループだと勝てないんだな」と思う一方で、チーム力の差を考えればシティーを下して3位に入り込めたことは大きな成果ではないでしょうか。リーグについては、結局首位まであと勝ち点3なので、十分な結果を残していると思います。

ただ、低調な内容の試合が多いことは非常に気になりますね。シティー戦みたいにサイド攻撃ばバッチリはまれば面白いサッカーができるんですが、昨シーズンのような迫力のある後方からのビルドアップやスペクタクルなプレーは少なくなっているような気がします。ヤンセンのクリエイティビティーがなくなり、フェルトンゲンの攻撃参加がなくなり、そしてフォアリベロとして動きまわるアニタを中心としたポゼッションができなくなり…といったように、戦術的に補完すべきポイントが多くあり、細部で自分たちのスタイルを確立するのに苦しんでいた印象でした。

ディフェンスの脆さは相変わらずなんですが、得点力不足が顕著でしたね。中盤を支配できても決められない、もどかしい試合が多かったと思います。あれだけゲームを支配していたら、もっと圧倒的に勝たなければいけないと思うのですが、そういう意味では退屈な試合が多かった気がします。トゥエンテ、フェイエノールト、PSVなど上位陣相手にはいい試合をしていたので、下位チームには圧倒的な差を見せてリードした上で選手もどんどんローテションして欲しいと思います。

補強が必要かどうかはよくわかりませんが、3連覇に向けてアヤックスらしいサッカーを見せ続けて欲しいですね。そして、アムステルダム・アレナでのヨーロッパリーグ決勝へ向けて、快進撃を見せて欲しいと思います。

それでは良いお年を。




※1
http://www.nusport.nl/eredivisie/2962631/siem-jong-sympathiekste-speler-eredivisie.html

※2
http://www.vi.nl/nieuws/233310/De-Jong-troeft-Malki-en-Mertens-af-als-MVP-van-2012.htm

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