2014年11月2日日曜日

14-15シーズン序盤 ~ブリントのいないアヤックス

(ajax.nl)


なかなかブログを更新する機会がなく、約半年ぶりの更新となってしまいましたが、今シーズンのアヤックスについて。


シーム・デ・ヨングとブリントという、これまでのリーグ4連覇を支えたスター選手の離脱があり、戦力的には大幅ダウンと言わざるを得ない顔ぶれ。シームは昨シーズン怪我もありましたが、これまでの活躍を考えると次のステップに進むことは当然と思えましたが、ブリントの移籍はトランスファー・ウインドウの閉まる直前に突然決まり、彼自身「一生アヤックスでプレーしてもいい」と言っていただけに、ファンにとってはショックの大きいものでした。



シーズン序盤はPSVにホームで敗戦、続くフローニンヘン戦にも敗れ連敗と、なかなか調子が上がらず苦しみました。苦手の10月もズウォレ、トゥウェンテに勝ちきれませんでしたが、GAE戦は3-1、ドルトレヒト戦は4-1と連勝し、得点力も戻ってきている感があります。



戦力的には、ブリントの抜けた穴をどうするか、未だに定まりきっていない部分があります。序盤戦ではフィールヘフェルをアンカー起用し、それなりにハマっていた感もありましたが、気の利く選手ではあるもののこれではビルドアップができない。ローン加入のジムリングも低調なパフォーマンス。さてどうするか、というところでセレロのアンカー起用という奇策も用いていますが、そうすると守備に問題が出てくる。ブリントだったら守備もできるし長短両方のパスが正確で、組み立ての起点になる。移籍先のマンチェスター・ユナイテッドでも活躍していることからわかるように、やはり欧州トップレベルの「6番」だったんだと痛感します。


セレロは体系的にも似ているアニタのような「フォアリベロ」的な役割ができればいいのでしょうが、なかなかうまくいかず、アニタのポジショニングも天才的だったんだなと感じます。当時はアニタが最後尾まで下がりパスの起点になることで、センターバックとサイドバックを押し出すという、厚みのあるビルドアップができていましたが、まぁそれもフェルトンゲンとアルデルヴァイレルトという稀有な攻撃センスを持ったセンターバックの存在あってこその話なので、なかなか今のチーム状況にすんなり当てはめることもできません。


フランク・デ・ブールがひとつの答えとして導き出しているのが、昨シーズンに17歳でデビューを飾ったジャイロ・リーデヴァルトのアンカー起用。守備力もあり、左足で組み立てもできる彼は、確かにタイプとしてはアンカーにふさわしい選手かもしれません。当然、ブリントのような圧倒的な存在感を出すには至っていませんが、デ・ブールも「フランク・ライカールトのよう」と称賛するタレント。彼自身、インタビューで以下のように語っています。
http://www.goal.com/en-gh/news/4375/editorials/2014/10/28/5553441/meet-jairo-riedewald-the-ajax-starlet-compared-to-frank


「僕自身はいつも自分のことをむしろセンターバックだと思ってきたけど、バルセロナ戦とGAE戦では中盤でのプレーがとてもうまくいったんだ。6番として自分がどうなるかはわからないけれど、僕はボールを持つのを楽しく感じるタイプの選手だから、中盤でたくさんのボールを見ることができると思うよ。僕は少しダレイ・ブリントに似ていると思うから、このポジションで活躍できると思う。」



打って変わって前線は才能ある選手がひしめき合っています。今のところ、完全にポジションを約束されていると言えるのは、シェーネとクラーセンの二人だけでしょう。


攻撃的な中盤は、昨シーズンと変わらずセレロとクラーセンの組み合わせが多かったのですが、ここに来てアンデルセンがセレロに変わって定位置を掴みつつあります。アンデルセンはセレロのようなハードワークはできないし、身体能力も高くないものの、ドリブルよし、パスよし、トリッキーなプレーでチャンスが作れて得点力もあるという魅力的な選手。スピードのなさを考えると、やはり彼が活きるのはウイングではなく中盤だと感じます。

そして今やチームの中心、新たに10番を背負うクラーセン。11節終了時点でゴールは1と少ないものの、エールディヴィジトップの7アシスト。マジカルなスルーパスで攻撃の起点となるだけでなく、守備への切り替えの際には鋭いタックルでボールを奪い返します。特にPSV戦でのエル・ガジへのスルーパスは見事。昨シーズンまでは、ゴール前での繊細なタッチが特徴的であるものの、中盤では無骨なハードワーカーという印象が強かったので、こんなプレーができるのかと驚いたものでした。コンスタントにゴールを奪えるようになれば、間違いなくオランダ代表でも活躍できるでしょう。






ウイングとスピッツは豪華絢爛とまではいかないものの、タレントがひしめきあっています。シェーネは相変わらず素晴らしい活躍で不動のレギュラー。チャンスメークもできるし、攻撃では信じられないようなミドルシュートやフリーキックを叩き込む。現時点でエールデヴィジ最高の選手。もう一方のウイングはエル・ガジとキシュナの若手がポジションを奪い合う。特にエル・ガジは得点力が高く、敗れたもののチャンピオンズリーグのバルセロナ戦でも得点しています。

スピッツのレギュラーは、今のところシグトルソン。NAC戦ではハットトリックを記録したものの、今のところそれ以外には1ゴールとパッとしていません。レバークーゼンからローンで加入したミリクは、出場した5試合で3ゴール。シュートセンスは抜群で、テクニックがあり周りを活かすこともできる。シグトルソンは9試合4ゴール(しかし得点したのはそのうち2試合のみ)なので、ミリクを使わない手はないと思うのですが…。






また、シグトルソンとミリクのほかにも、まずはヨング・アヤックスでシステムへの順応を測っているものの、すでにゴール量産の気配を出しているジヴコヴィッチも控えています。その他、メニグ、バズール、ヌリ、ファン・デ・ベーク、チェルニー等、ヨングやA1で躍動するタレントのトップチームでの活躍も待ち遠しいところです。


チャンピオンズリーグでは3節を終えて未だ未勝利。アポエルにも勝ちきれず、厳しい状況が続いています。しかし、全体的に徐々に調子を上げてきてはいるので、頑張ってほしいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿